asc

海の国際認証ASCって何?

ASC認証

将来世代になっても海洋資源を使い続けられるように、持続可能な基準・方法で養殖場を守りながらも、今の時代のわたしたちにも海産物の恵みを受けられるように継続して養殖場を管理していくことの証明です。

2016年3月30日、宮城県漁業協同組合志津川支所の戸倉出張所が手掛けるカキ養殖が、日本では初めてとなるASC(水産養殖管理協議会)の漁業認証を取得しました。

ASC認証の対象となる魚介類は「ティラピア、パンガシウス、サケ・マス、エビ、パンガシウス(ナマズ類)、二枚貝(カキ、ホタテ、アサリ、ムール貝)、アワビ、ブリ・スギ類、海藻類(ヒジキやワカメなど海藻全般)」などで、南三陸町ではこの中で「二枚貝(カキ)」の国際認証を取得しました。

ASC認証は、環境や地域社会に配慮した養殖業だけが取得できる国際的な認証です。今回の認証取得は、東日本大震災の津波被害により、壊滅的な打撃を受けた南三陸の漁業を復興させる取り組みの一環として、同出張所が目指してきたもので、海の自然に配慮した養殖の実現に向けた新たな試みです。

チェックリスト

ASC認証は、
①自然環境や資源を持続可能な状態で利用しているか
②養殖漁場からの環境負荷を軽減しているか
③労働環境や地域社会に配慮して運営されているか
3つのポイントにより審査が行われます。

ASCの原則と基準
01法令順守

基本的要件として、ASC認証を受ける養殖場は、関連する法的義務(許認可等を含む)を順守していることが求められる。

02自然環境および 生物多様性への悪影響の軽減

二枚貝養殖によって起こりうる自然環境および生物多様性への影響に対処すること。二枚貝の排泄物により海底環境が悪化したり、摂餌によりプランクトンが枯渇しないよう、モニタリングと評価を行い、適切な密度での養殖が求められる。
また周辺の生態系や絶滅危惧種に対して悪影響を及ぼしてはならない。

03天然個体群への影響

不適切な稚貝や親貝の導入、外来種の養殖によって、新たな病害虫の発生や在来生態系のかく乱が引き起こされる可能性がある。
他地域から天然種苗を取り寄せる場合、資源管理がなされていること、人工孵化種苗を使用する場合、天然個体への影響を評価すること、外来種を養殖する場合、適切な行動規範に従うことが求められる。また、遺伝子組み換えした種苗の養殖は認められない。

04病害虫の管理と食害防止

二枚貝の病害虫、食害を引き起こす有害生物、養殖施設などに付着する汚損生物などの管理は、その影響が局所的かつ一時的であり、生態系に深刻な影響を及ぼすもであってはいけない。
突然変異や発ガン性、奇形を誘発する殺虫剤、環境もしくは養殖個体に残留性のある有害化学物質を使用しないことが求められる。食害の被害を与える動物が絶滅危惧種の場合、殺駆除を行なってはならない。

05資源の効率的な利用

二枚貝養殖における廃棄物は適切に処理されるとともに、有害性のある廃棄物については流出防止策を立てなければならない。
また、廃棄物を削減するため、再利用やリサイクルの推進が求められる。エネルギー効率改善の継続的な努力を行い、また最新の利用記録が閲覧可能であること。

06地域社会に対する責任

養殖場は近隣の地域社会との軋轢を軽減し、紛争解決のための努力が求められる。
景観に配慮した養殖施設の配置、悪臭や騒音の低減、流失したブイやロープなどの養殖施設の回収、地域からの苦情処理の手順などを定めなければならない。

07適切な労働環境

養殖場は労働者に安全な労働環境を提供し、不合理、不平等な条件で労働を強いてはならない。
児童労働、強制労働、虐待的懲戒行為、過剰な残業、不適切な賃金体系は認められない。

加工・流通過程の管理「CoC認証」って?

ASC認証を取得した漁業者・養殖業者による認証水産物が「海のエコラベル」を付けて消費者のもとに届くためには、もう一つ必要な認証があります。それがCoC認証です。
水産物の流通・加工の過程では、認証水産物と、そうでない水産物が混じってしまう可能性があります。
こうした非認証の水産物の混入を防ぐため、製品がたどってきた経路を遡ることができるようトレーサビリティを確保するしくみが、CoC認証です。
CoCはChain of Custody の略で「加工・流通過程の管理」を意味します。
宮城県漁業協同組合志津川支所の戸倉出張所は、2016年2月にASC CoC認証、同年3月にASC養殖場認証を取得しています。

ASC-CoC認証